初めての溺愛は雪の色 ~凍えるため息は湯けむりにほどけて~
「や……」
 蓬星は初美の声を無視して初美を舐め取る。初美は思わず蓬星の頭に両手を当てるが、蓬星の与える快感で力が入らない。

 彼の手が胸に伸びて、その先端をくすぐる。
 初美の手は彼の手をよけようとして、甘美な刺激に耐えられずに落ちた。そのままラグをつかみ、声を上げる。
 蓬星に翻弄され、耐えられそうになかった。
 が、彼は快感の波を見計らうように、初美をまた焦らす。
 初美が潤んだ瞳を蓬星に向けると、彼は目を細め、口元に笑みを刻んだ。

「愛してる」
 言いながら、彼は熱くたぎるものを初美の中にさしこむ。
 思わずまた声が漏れた。
 突き上げる彼の愛に、何度も初美は声を上げる。
 初美は快感とともに悦びを彼の体に刻んだ。小さな(キス)の痕がいくつも生まれる。

 初美は彼の体をそっと押した。彼は少し戸惑いを見せながら、されるがままに体を起こした。
 初美が手を伸ばすと、その手を彼が掴む。初美が体を起こそうとするのを、彼は戸惑いながら手伝った。

「初美さん?」
 意図をはかりかねた蓬星がたずねるように名を呼ぶ。が、初美は答えずにまた彼をそっと押した。
 彼はためらいながらラグに寝そべる。
 白いラグのせいか、雪原に二人だけがいるかのようだった。

「いいの?」
 問いかけに、初美は黙ってうなずいた。
 恥ずかしい。恥ずかしくてたまらない。
 だけど、彼だから。
「愛してるから」
 言うと、彼はくすりと笑った。

「俺も。愛してる」
 彼の伸ばす手を握る。
 初美は懸命に彼を愛し、彼はそれに応えてくれた。

 ああ、と初美はため息を漏らす。
 なぜか、白い雪原と星空が見える気がした。澄んだ星空の下、どこまでも白い雪の中で二人だけが愛を紡ぐ。

 頂きにのぼりつめ、のけぞる初美のまぶたに、満点の星空が輝いた。
 初美の熱い吐息は、もうとうてい、凍えそうになかった。
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