初めての溺愛は雪の色 ~凍えるため息は湯けむりにほどけて~
「今日はさすがに急すぎたかな」
 蓬星は残念そうに目を細めた。
「いえ、大丈夫です」
 初美は覚悟を決めて、車を降りた。



 部屋に入ると、彼は言った。
「シャワー浴びる?」
「はい」
「一緒に?」
「そ、それは勘弁してください」
 慌てて初美は答える。
 彼はくすりと笑った。

「じゃあ、待ってるから」
 おでこにキスされて、初美はうつむいた。
 逃げるように脱衣所に行くと、鏡には顔を赤くした自分が映っていた。
 髪も洗っていいんだろうか。でも時間がかかるし、こういうときは髪を洗わないものだろうか。
 結局、体だけを洗って、バスローブを羽織って出た。
 広くはない室内に、ベッドだけがやたらと大きい。
 彼はベッドに座ってスマホを見ていたが、彼女が出てきたのを見て、にこっと笑った。

「かわいい。おいで」
 言われて、彼の隣に座る。
 直後、キスされた。
 彼の舌が彼女を撫で、かきまわす。
 と同時にバスローブをずらされた。背中を撫でられて、のけぞった。

「背中、弱い?」
 初美は答えない。そんなこと、答えられるわけがない。
 彼はくすりと笑ってさらに背筋をなぞる。
 思わず声が漏れる。
 彼はかまわず首筋に唇を寄せ、初美はさらに声を漏らした。

 気がつけばベッドに横になっていた。
 彼の手が胸に伸びて、優しく撫でられる。
 彼の唇が初美の唇に重なり、首筋へ、胸へと移動する。初美は声をあげ続け、呼吸もままならない。体がどんどん熱くなる。
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