初めての溺愛は雪の色 ~凍えるため息は湯けむりにほどけて~
 彼の手も唇も優しく気遣うように、彼女を愛撫する。
 ……文字通り、愛を持って撫でる。
 どうしてわかるのか、わからない。だが、動きの一つ一つに、愛を感じた。
 初美は泣きそうになった。
 彼の舌がへそを撫でて、さらに下へと移動する。

「いや……」
 初美は恥ずかしくて抵抗して手を伸ばすが、彼はその手をつかんだ。
 そのまま、指をなぞるように舐める。
 背がぞくぞくした。
 彼の目は挑発するように彼女を見ていた。
 初美は潤んだ瞳で見つめ返す。
 彼は微笑した。
 それから手を離して、初美の下半身に顔を沈める。
 今までよりも大きな快感が走り、初美はのけぞった。

「だめ……」
 声は自分でもわかるほど弱々しくて、とうてい彼がやめてくれるようには思えなかった。

 ゆっくりとやわらかな感触だった。だが、容赦がない。初美を探り、弱点を見つけ、攻め上げる。

 もがいて、彼を探すように片手を上げると、彼の手に握られた。ぎゅっと握り返した。

 彼の指が初美の中に入り込み、探る。同時に胸をついばみ、舐める。

 快感がうねり、さらに声がもれる。彼は初美を悦ばすように指を動かした。

 初美が充分に潤ったあと、彼はゴムをつけて彼女の中に彼自身を沈める。
 浅く動いたかと思えば深く、ときには彼女をかき混ぜた。
 彼が動くたびに、初美から歓喜が漏れる。とろけるように、しびれるように、ただ彼の動きに夢中になった。

 彼が初美を抱き起こす。
 正対して座るような形になった。
 初美の脳裏に、嫌な光景が蘇る。

「嫌!」
 初美はとっさに彼をつきとばすように手を伸ばす。

 蓬星は驚いて彼女を寝そべらせる。
「ごめん。嫌だった?」
 初美は無言でうなずく。
 彼は初美の頭を撫でた。
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