初めての溺愛は雪の色 ~凍えるため息は湯けむりにほどけて~
「初美さん、先に行ってて」
「でも」
「いいから。男同士で話しがある」
決然と言われて、初美はもうそれ以上は言えなかった。後ろ髪を引かれながら企画室に向かった。
それを見送り、蓬星は貴斗に向き直る。
「彼女を侮辱しないでください」
「俺のお古で満足とは謙虚だな」
「モネやルノワールを手に入れるとき、前のオーナーなんて気にしませんよ」
「あいつが! モネ! ルノワール! お前、印象派好きかよ!」
げらげらと貴斗は笑う。
「彼女は素晴らしい女性です。元彼は満足できなかったようですが、つまりはよっぽど小さかったか下手だったんですかね」
「なんだと!」
「なんで怒るんです? あなたのこととは言ってませんよ」
蓬星は挑発的に笑う。
「彼女につきまとわないでください。今さら惜しんでも遅い。あなたが捨てたんですよ」
「捨ててねーよ」
「彼女の幸せに、あなたは必要ない」
断言する蓬星に、貴斗は表情を消した。
蓬星は今まで、貴斗には一歩ひいてきた。こんなふうに反論し、対決姿勢をあらわにするのは初めてのことだ。
「俺にそんな態度をとるとどうなるか、わかってんだろうな」
貴斗が蓬星をにらむ。
「あなたも、俺のことはわかっているはずだ」
蓬星はまっすぐに彼を見返す。
しばらくにらみ合い、先に目をそらしたのは、貴斗だった。
「あいつが最後に選ぶのは俺だ」
貴斗は言い捨てて、立ち去った。
「厄介なことになりそうだ」
蓬星はうんざりとため息をついた。
貴斗は蓬星に直接攻撃をするのではなく初美に狙いを定めたようだ。自分が引いてもどうにもならないだろう。
「でも」
「いいから。男同士で話しがある」
決然と言われて、初美はもうそれ以上は言えなかった。後ろ髪を引かれながら企画室に向かった。
それを見送り、蓬星は貴斗に向き直る。
「彼女を侮辱しないでください」
「俺のお古で満足とは謙虚だな」
「モネやルノワールを手に入れるとき、前のオーナーなんて気にしませんよ」
「あいつが! モネ! ルノワール! お前、印象派好きかよ!」
げらげらと貴斗は笑う。
「彼女は素晴らしい女性です。元彼は満足できなかったようですが、つまりはよっぽど小さかったか下手だったんですかね」
「なんだと!」
「なんで怒るんです? あなたのこととは言ってませんよ」
蓬星は挑発的に笑う。
「彼女につきまとわないでください。今さら惜しんでも遅い。あなたが捨てたんですよ」
「捨ててねーよ」
「彼女の幸せに、あなたは必要ない」
断言する蓬星に、貴斗は表情を消した。
蓬星は今まで、貴斗には一歩ひいてきた。こんなふうに反論し、対決姿勢をあらわにするのは初めてのことだ。
「俺にそんな態度をとるとどうなるか、わかってんだろうな」
貴斗が蓬星をにらむ。
「あなたも、俺のことはわかっているはずだ」
蓬星はまっすぐに彼を見返す。
しばらくにらみ合い、先に目をそらしたのは、貴斗だった。
「あいつが最後に選ぶのは俺だ」
貴斗は言い捨てて、立ち去った。
「厄介なことになりそうだ」
蓬星はうんざりとため息をついた。
貴斗は蓬星に直接攻撃をするのではなく初美に狙いを定めたようだ。自分が引いてもどうにもならないだろう。