初めての溺愛は雪の色 ~凍えるため息は湯けむりにほどけて~
「やっぱり」
やっぱりとはどういうことだろう。思ったが、初美は聞けない。先ほど貴斗に言われたのかもしれない。
「あなたは俺のものだ」
蓬星は初美の左手をとり、その薬指に口づける。
「俺の印をあなたにつけたい」
「印って……どういうこと?」
「こういうこと」
彼が手を伸ばす。
彼は初美の服に手を伸ばす。
初美は動揺して、かえって動けなかった。
彼は初美のブラウスのボタンを二つほどはずし、胸元に唇を落とす。
キュッと、一瞬だけかすかな痛みが走った。
「もっと、いい?」
よくわからなくて、初美は答えられなかった。
それを肯定ととったのか、彼はそのまま唇を滑らす。
何度もかすかな痛みが走った。
キスマークをつけているのだ、と流石に理解した。
数度を繰り返し、彼は唇を離した。そのまま、初美を抱きしめる。その力が強くて、初美は少し驚く。
「ごめん、職場でこんなこと」
「……大丈夫です」
嫉妬してくれたのだろうか。それなら嬉しい。だけど。
蓬星を見上げる。
黒髪がかかる瞳は相変わらず優しい。
こんな優しい人が、宣戦布告と言っていた。果たして大丈夫なのだろうか。彼が誰かと争うなんて、想像もできない。
「あなたは真面目で善良な人だ」
言われて、初美は目をまばたかせた。善良なんて響きは第三者的で、自分を指して使われるなんて思いもしなかった。
「だから仁木田さんにもあの男にも振り回される。心配だ」
なんだか情けなくなってきた。きちんと対処できてない、と言われているようで。
「彼に何かされたら……いや、彼だけじゃない、誰かに何かされたらすぐに俺に言って」
「はい」
服を直して、初美はうなずく。
守ろうとしてくれている。
ただそれだけで、胸が熱くなった。
やっぱりとはどういうことだろう。思ったが、初美は聞けない。先ほど貴斗に言われたのかもしれない。
「あなたは俺のものだ」
蓬星は初美の左手をとり、その薬指に口づける。
「俺の印をあなたにつけたい」
「印って……どういうこと?」
「こういうこと」
彼が手を伸ばす。
彼は初美の服に手を伸ばす。
初美は動揺して、かえって動けなかった。
彼は初美のブラウスのボタンを二つほどはずし、胸元に唇を落とす。
キュッと、一瞬だけかすかな痛みが走った。
「もっと、いい?」
よくわからなくて、初美は答えられなかった。
それを肯定ととったのか、彼はそのまま唇を滑らす。
何度もかすかな痛みが走った。
キスマークをつけているのだ、と流石に理解した。
数度を繰り返し、彼は唇を離した。そのまま、初美を抱きしめる。その力が強くて、初美は少し驚く。
「ごめん、職場でこんなこと」
「……大丈夫です」
嫉妬してくれたのだろうか。それなら嬉しい。だけど。
蓬星を見上げる。
黒髪がかかる瞳は相変わらず優しい。
こんな優しい人が、宣戦布告と言っていた。果たして大丈夫なのだろうか。彼が誰かと争うなんて、想像もできない。
「あなたは真面目で善良な人だ」
言われて、初美は目をまばたかせた。善良なんて響きは第三者的で、自分を指して使われるなんて思いもしなかった。
「だから仁木田さんにもあの男にも振り回される。心配だ」
なんだか情けなくなってきた。きちんと対処できてない、と言われているようで。
「彼に何かされたら……いや、彼だけじゃない、誰かに何かされたらすぐに俺に言って」
「はい」
服を直して、初美はうなずく。
守ろうとしてくれている。
ただそれだけで、胸が熱くなった。