この愛が、いつか咲きますように

「本場のやつはしとたこ焼き、すっごくおいしかったよ〜！」

生徒たちは楽しかった思い出を自分が満足するまで語り、授業五分前の予鈴が鳴ると保健室を出て行く。そんな生徒たちの流れに逆らうように、五限目の授業が始まるチャイムと共に保健室に入って来たのは悠二だった。

「悠二くん、もう授業始まってるけど……」

そう言い顔を上げた愛華の顔は、一気に表情を抜け落ちた。悠二は顔を真っ青にさせながらお腹を押さえていたからである。

「先生、ごめん……。腹痛くて……」

そう言う彼の言葉にはいつもの明るさはなく、仮病などではないと一瞬でわかるものだった。愛華は悠二に駆け寄り、「大丈夫？とりあえず、横になりましょう」とベッドまで悠二の体を支えながら移動する。

「松浦先生、湯たんぽ」

凛子が電子レンジで温めた湯たんぽを愛華に渡す。愛華は「ありがとうございます」とお礼を言い、ベッドの上で苦しそうにしている悠二の元へ持って行く。