この愛が、いつか咲きますように

流石に生徒から貰ったとは言いづらく、愛華は数秒考えたのちに「知り合いの人が大阪と京都に旅行に行ったみたいで、お土産に貰ったの」と嘘を吐いた。すると、女子生徒はニヤニヤし始める。

「先生、このキーホルダーがどんなものか知らないんですか？」

「えっ？ただのキーホルダーでしょ？」

「違いますよ！これは、京都の縁結び神社で売られている特別なキーホルダーなんです。このキーホルダーはペアになっていて、結婚している二人が待っていたら来世でもまた夫婦として結ばれる、未婚の二人だと夫婦になれるって言われてる縁結びのキーホルダーなんですよ」

「え、縁結び！？夫婦！？」

予想もしていなかった答えに、愛華はキーホルダーを見つめる。頭に真っ先に浮かんだのは、悠二はこのことを知っているのかという疑問だった。

女子生徒が保健室を出て行った後、愛華はどうしても気になってしまい、保健室を飛び出した。廊下を早足で歩き、悠二を探す。

「お前、まだ文豪ハマってんの？」

「おう！今度は織田作之助か坂口安吾あたりを読む予定」