この愛が、いつか咲きますように
(毎日のように「結婚しよ」って言われてるのに、私、何も悠二くんのこと知らないんだな)

文豪の作品を読み、愛華の好きなものを好きになってくれた悠二に申し訳なさを彼女が感じた時、手当てを終えた一年生男子が頭の後ろで腕を組みながら言う。

「それにしても、悠二先輩たちいいな〜。今修学旅行中ですよ!しかも行き先は京都と大阪!」

「来年になったら行けるわよ」

一年生男子にそう言い、愛華は笑いかける。一年生男子は「いいな〜」と言いながら保健室を出て行く。

(今頃、悠二くんは何してるのかな……)

そんなことを自然と考えてしまう自分に、愛華は数秒後に驚いていた。



二年生のビッグイベントである修学旅行は、二泊三日である。大阪と京都を楽しんできた二年生たちは、昼休みに保健室に来てその思い出を愛華に聞かせてくれた。

「USJ行って来たよ〜!ハリポタのところヤバかった!」

「京都の縁結びの神社行って来たの。イケメンな彼氏できるといいな〜」
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