千年愛


その彼女の笑顔の裏に何があるのか知らずに、俺はただ彼女の表面だけしか見ていなかったのだった。


部屋に戻り俺と彼女は向き合い、お互いの似顔絵を描きあった。流石に舞ちゃんは慣れたもので、ものの10分程で完成した。



「出来た〜!」


「えっ!?マジで!?」


「俺…まだ全然出来てないよ。」


「いいよ!ゆっくりで…でも可愛く描いてね!」

と首をすくめて甘えるように言う彼女が、次第にアーサであろうが、なかろうが…どうでもよくなろうとしていたその時…。


何度も描いては消し、消しては描いていた俺を、彼女はじっと見つめて、俺が描く似顔絵の完成を待っていた。




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