千年愛


会場は、中学の時から仲が良かった

アーサの友達のすすり泣く声と

ラベンダーのほのかに甘い香に

包まれている。






俺はというと、





アーサが消えてからこの一年半…

ずっと泣き続けたせいなのか…

まだ信じることができないからなのか…

事実を受け入れることが

できないからなのか…






涙はすでに枯れ果てていたし、




どこか非現実的な空間にしか

思えなかった。






式場には来賓席が100程用意され、

その一番後ろの席にゆっくりと

腰をおろした。





隣りには貢が座り、

その隣りには貢の彼女の霧島彩花、

彩花の友達の高島いずみが座った。





貢以外は別にこれといって

仲がいいという訳でもなかったが、

二人は貢と働いているホストクラブの

常連客で、自分にとっては

ただの営業活動の一環でしかなかった。





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