千年愛
来たばかりの頃までは、
自分の病気のことも、多分…
真行司さんのことも…断片的には
覚えてたみたいだけど…
今では自分の病気のことも
覚えてないみたい。
そんな訳で、舞ちゃんはここにいるの。
だから君のことも、自分の本当の名前も
分からないのよ。
ここに来る前の記憶が全部なくなってる。」
俺は返事すらできずに、
ただ泣くしかできなかった。
今までの二年分の涙が一度に
溢れ出て来ていた。
俺は携帯を開き、アーサと撮った写真や
アーサが失踪する前に最後にくれた
メールを蓉子さんに見せた。