千年愛
止まらない涙のムコウに
蓉子さんと話している間も、アーサは
静かな眠りについていたようだった。
玄関の格子戸を開け、外に出ると、
微かに雲の隙間から月が覗いていた。
あの月が西の空に沈むと、そのムコウには
また朝に連れられて明日が来ると…
今では信じられる。
今まで何度もアーサのことは
もう諦めた方がいいのか?
…などと弱気な自分が出てしまうことも
あったが諦めないで良かった、と
夜空の月を見ながら心からそう思っていた。