千年愛


どうして屋上なのか理解に苦しんだけど、

お母さんの思い詰めたような声に

ただそれに従うしかなかった。







屋上の鉄製の扉を開けると、

お母さんは一人で港を眺めてた。






その日のお母さんの姿はめずらしく

上下ともベージュのスーツ。

あまり見ない恰好だった。





レオとのことで反対されて家を出てたから

母親に逢うのは2年ぶり。





久しぶりに見るお母さんは

かなりやつれたようだった。





一目で分かる程、白髪も増えていたし。





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