千年愛


受付で名前を告げると、

受付の女性が何やらコソコソと話し、

アタシに哀れみの視線を向けた。






それから一人の女性が

「どうぞ、こちらです」

と言ってアタシを診察室へ連れて行く。







しかしアタシが案内されたのは

診察室ではなく、別棟のどこまでも

延々と続きそうな暗い廊下の

一番奥にある古い研究室のような

部屋だった。







ドアはスカイブルーのペンキも

はげ落ちたようで今にも

壊れそうな感じだった。






中に入ると部屋は診察室というには程遠く

中央に壊れかけたような椅子が

一つだけ置かれ、その前には

木の机が無造作に置かれていた。






奥の壁一面の本棚には

専門書のような本が溢れ、

その本棚におさまりきれない本が

部屋のそこらじゅうに山積みされていた。




< 256 / 276 >

この作品をシェア

pagetop