千年愛
受付で名前を告げると、
受付の女性が何やらコソコソと話し、
アタシに哀れみの視線を向けた。
それから一人の女性が
「どうぞ、こちらです」
と言ってアタシを診察室へ連れて行く。
しかしアタシが案内されたのは
診察室ではなく、別棟のどこまでも
延々と続きそうな暗い廊下の
一番奥にある古い研究室のような
部屋だった。
ドアはスカイブルーのペンキも
はげ落ちたようで今にも
壊れそうな感じだった。
中に入ると部屋は診察室というには程遠く
中央に壊れかけたような椅子が
一つだけ置かれ、その前には
木の机が無造作に置かれていた。
奥の壁一面の本棚には
専門書のような本が溢れ、
その本棚におさまりきれない本が
部屋のそこらじゅうに山積みされていた。