千年愛


その時のお父さんの表情にどこか安堵感のような安らかな笑みが感じられ、それが気にかかったが、今の俺がそんな気になれるはずはなかった。



アーサが失踪してからといいもの…東京…鎌倉…北海道…心あたりがある場所は、手当たり次第にアーサを探し回った。


しかし、何一つ手掛かりはなかった。そんな中アーサのお母さんも亡くなり、その後アーサが失踪し…アーサの失踪から半年後、アーサの遺書が家に送られて来ていた。




ーーお父さん…先立つ親不孝を許して下さい。お母さんを死に追いやったのはアタシなの。

アタシが生まれて来たばかりに…お母さんにも…お父さんにも苦労させたんだね。


ごめんなさい。それからレオに、鎌倉の実家に戻って真行寺家を継ぐように言って下さい。アタシの最後の願いだと。



こんな内容の遺書だった。



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