千年愛
「レオちゃん!…レオちゃん!」
それは母親だった。
「お願いだから、もう帰って来て…ね!お母さんも悪かったのよね。ごめんなさいね。
それにお父様も…。だから…ね!
レオちゃん!」
俺は縋る母親を無視して、振り切る様に走った。車も初めは追いかけて来ていたが、前がつかえていて諦めた。
「奥様…申し訳ありません。前がつかえておりまして。」
「いいのよ。気にしないで。別に島田が悪いんじゃないから。悪いのは…全部…私。」
「それにしても、お坊ちゃまもああいう所は旦那様にそっくりですね。」
「あの時…許してさえいれば…こんなことにはならなかったのよね。」
「そんなにご自分をお責めになられては…。」
「ありがとう。島田だけね。そう言ってくれるのは…。」