身代わり娘の逃走計画
「ずっとここなら、宮殿の外にはあまり出ないの?」
「んん、仕事で出ることもあるが、大体はここだな」
「じゃあ、宮殿のことは詳しいのね?」
「なんだ、宮殿について聞きたいのか?」
私は人懐こく笑ってみせた。
「宮殿だけじゃなくて、この広い庭のことも」
「そんなら暁燕も教えてくれ」
急に真摯な顔つきになった春堅に、心臓が嫌な音を立てた。
もしかして、怪しまれてる……?
「暁燕が今まで旅した国について知りたい」
「お安い御用よ」