身代わり娘の逃走計画
私という女はどうしてこうも考えが浅いのだろう。髪をこっそり切っていれば他の妃たちが疑われるかも……なんて考えもしなかった。
髪が伸びにくい体質だと伝えてみる? だとしても今の髪の長さは後宮に入った時とさほど変わらない。伸びない体質だとしても無理がある。適当な話をでっちあげる? それとも、それとも……。
考えているうちに玉座の間までやってきていた。ここから先は、一人で行かないといけない。
心配そうな侍女たちを安心させたくて微笑んでみせたけど、きっと引き攣った笑顔だったんだろう。侍女たちの顔も引き攣っていた。