魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
ラーシュがソフィーの元へ駆けつけると、ソフィーは早口に話しかけてきた。
「ああ、ラーシュ。分かることだけでいいから質問に答えてほしいの。イーダは今魔王のところにいる?」
ラーシュは迷うことなく頷いた。
「ということは、魔王の花嫁になったのかしら?」
(十中八九、婚姻の儀式は中断したんだと思いますが……)
断言はできない。首を傾げるしかなかった。
「魔王のところにはいるのに、花嫁にはなっていない……はっ! もしかして、身代わりだとバレたんじゃ……」
この問いも、高確率でそうだろうと思われる。しかし、やっぱり定かではない。
「なら、大変なことになってるんじゃない?」
(あー、怒って追いかけまわしていましたね……)
この質問に頷くことはできるが、頷くことは躊躇われた。ソフィーの抱える不安をイタズラに肥大化させるだけなのは目に見えている。