魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

(なあに。魔王様をダマそうとしたことを国王に抗議して、正しい花嫁を寄越すように要求すればいいだけのことです。魔王様にそうするよう進言しましょう)

 何より魔王が怒っていないことが大きい。

(イーダが身代わりになった経緯は知りませんが、イーダには恐らく非はないでしょう。なら、イーダを帰すことは容易いはずです)

 ただ、初見でイーダのことを気に入っていたことは少し引っかかった。

 けれど、それが仮に100年の恋であっても、替え玉だと分かった時点で冷めてしまったであろうことは想像に難くない。

 イーダでなくてもいいはずだ。

 第一王女は性格に難がありそうだったけれど、器量はイーダと遜色なかった。

 魔王様は、第一王女のこともきっとひと目で気に入る。

 それで丸く収まる。

 ソフィーを安心させることができたラーシュは、機嫌よく魔界へ戻っていった。

< 113 / 227 >

この作品をシェア

pagetop