魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

「確認なのですが、まだ婚姻の儀式は完了していないのですよね?」

「はい。私がその……名前を偽ったので中断となりました」

(婚姻の契約を結んだあとではどうなるか分かりませんが、まだ結んでいないのなら……)

「魔女様、元の世界に戻りたければ、これから私の言うことをよーく聞いてください」

「えっ? 元の世界に戻るって?」

 唐突な提案にイーダは戸惑いを見せた。

「魔王様は貴方に、魔王様と共に人間界へ行くことをもう1度願わせるはずです。どうぞそれに乗っかってください。ですが、そのあと魔界にはどうにかして魔王様ひとりで帰らせてください。『人間界でやりたいことがあるから、あとで迎えにきてほしい』とでも言えばよいでしょう。以降、魔女様から魔王様に呼びかけなければ、それで終わります」

「それだけ……でいいんですか……? それだけで終わり?」
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