魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 次に取るべき行動は明白だった。

 特効薬を作って安心させてやることだ。

 それと名前を偽ったことも蒸し返さない! これは絶対だ。

(頼れる男だというところを示せば、彼女のほうから進んで名前を教えてくれる気になるかもしれない)

 婚姻の儀式はそれからでいいし、毎日小さなお願いを叶えるのだって……と、油断するとすぐに思考がそっちに戻る。これがいけないのに。

(危ない、危ない。この先ずっと一緒にいられるんだ。今はとにかく焦らないでいこう、うん)

 計画はまとまった。

 あとは明日に備えて睡眠はきちんと取るのみだ。

(寝不足だと判断力が鈍って、またうっかり心のままに行動する……なんて失敗を犯しかねないからな)

 しかし、目を閉じると王女と箒に乗っていたときの高揚感が蘇ってきて、一向に眠れそうになかった。

 魔王は自らに魔法をかけて、朝まで強制的に眠ることにした──
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