魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

4.2

 ラーシュの言った通りにあっさりと事が運んでしまい、イーダは驚いていた。

(どうしてかまでは分からないけど、魔王様は『一緒に人間界に行きたい』って私の口から願わせたいんだ。ラーシュさんの教えてくれたことは本当だった!)

 そう思ったとき、イーダは反射的にラーシュに視線を向けた。

 それに気づいたラーシュは、コクコクと小刻みに頷いた。

(これは素直に提案に乗っかれってことね)

 けれど、何ひとつ疑っていない魔王から『魔王城に帰ってきたら、今度こそ君の本当の名を教えてね』と優しく微笑まれて、イーダは罪悪感で窒息しそうになった。

(でも、罪悪感だけじゃない…… )

 胸が苦しくなる理由は、もうひとつあった。

(自分でも簡単すぎるし、どうかと思うんだけど……)
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