魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

4.3

 魔女の集落といったって、要するに女の集団なのだ。

 そこに美形男子をひとり投入したらどうなるかなんて想像できたはずだ。たとえそれが魔王だったとしても!

「面白い人たちばかりだね」

 魔王が不快に感じなかったことだけが救いだ。

 イーダは嘆息した。

(でも、ソフィー母さんだけは違うはず!)

 気持ちを立て直して、薬を作っているはずの建物を目指した。

 到着する直前に、ドアが開いて目尻を赤くしたソフィーが出てきた。

「大魔女! ただいま、でいいのかな?」

 どう挨拶するのが正しいのか判断できなくて、魔王を横目で見ると優しく微笑んでもらえた。それでようやく『ただいま』でよかったんだと確信できた。

「びっくりしたわ! でも無事でよかった!」

 シリエに続き、ソフィーにも抱き寄せられた。
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