魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
けれど、やはりそこは大魔女だ。ひと呼吸置くとイーダから離れた。
「それで、そちらの方は?」
「彼女の夫になる予定のものです」
魔王が機嫌よく自己紹介した。
「ち、ちょっと、魔王様、言い方!」
「えっ、分かりやすくてよくない?」
「もう!」
ふたりのやりとりに、ソフィーが目を丸くした。
そこでようやくイーダは気がついた。
(私ってば魔王様相手に、信じられないような態度取ってた!)
集落に帰ってきた安心感があったのだろうか? 魔王城を出るまでは、この先の計画を想像してツラかったはずなのに、それも今はすっかり抜け落ちていた。
ソフィーの前ということもある。
しゃんとしないといけないという意識が働いた。
「あの、こっちがこの集落の代表者である大魔女です」
「君のお母さんだね」
「そうです」