魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
(……あれ?)
即答したあとで、そのことを魔王に伝えていたのか疑問に思った。
(あと、『お母さん』っていっても養母なんだけど……まあ、でもそれはわざわざ言及しなくてもいいかな?)
「大魔女、魔王様が後々のことも考慮して、魔女でも作れる斑紋死病の特効薬を考えてくれるんだって」
「まあ、それは本当ですか!?」
魔界は『ええ』とにこやかに頷く。
「だから、まずは今作ってる薬を魔王様に見せてほしいの」
「こちらですっ」
ソフィーは魔王を調剤室の中へと案内した。
「あっ、この部屋……」
魔王は調剤室を見回した。
(何か感じるところがあるのかな? 何といっても魔王様だから)
鍋の火は消えていたが、先ほどまで点いていたのだろう。鍋からはほわほわの湯気が立ち昇っていた。