魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
しかし、本当に感染しない保証なんてない。疫病がどこを浮遊しているかなど、誰にも確認できやしないのだから。
それと、この集落から王宮まで全速力で飛んだとしても、半日はかかってしまう。
大切な薬を運んでいる途中では、長い休憩も取れない。
これがどれだけツラいことか。
飛べない者に想像できないのは無理もないことだ。
けれど、それなら確認くらいしてちょうだいよ、と思うのだ。
(それとも魔女なんぞ酷使したって構わないと思っているのか……)
そう考えると、ますます腹が立ってくる。
そうして配達を済ませると、魔女たちはまた真っすぐに帰ってくる。
万一にも斑紋死病が付着していたら……と考えると、どこか適当な町に寄って休憩してから帰ってくることもできないのだ。