魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 イーダは、後ろで話を聞いていたソフィーを振り返った。

「大魔女、どう?」

「もちろんいいに決まってるじゃない。まずは材料を揃えないとね。でも、今作ってる薬はほかにも用途があることだし、とりあえず完成させちゃうわ。だから貴方に薬草の保管庫まで必要な材料を取りに行くのは頼んでもいい? 虫の採集はラーシュに頼むことにするわ」

「ラーシュ?」

 魔王が首を傾げた。

「大魔女の使い魔のことです。私たち魔女よりよっぽど採集が上手なんですよ。私たちだって、瓶に餌になるようなものを入れておいてから、さらに魔法使っておびき寄せてるはずなんですけどね」

 イーダが説明している間に、ソフィーは使い魔を呼び寄せた。

「来た、来た。あれがラーシュです」

 イーダが指さすと、魔王はそのカラスに顔を近づけまじまじと見た。
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