魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
「あー、疫病だけを狙って毒を作用させる魔法を一応かけてはいるんですね」
「そうなんですけど完璧ではなくて、疫病が入り込んでいる内臓器官も一緒に攻撃してしまうんです」
「疫病だけをっていう魔法は難しいのか……なら、逆に内臓器官だけ治癒させる魔法はできますか? こういうのなんですけど」
魔王が丸薬のひとつにかけてみせた。
「それなら、威力はずいぶん弱くなりますが……」
ソフィーが別の丸薬に類似した魔法をかけた。
「ああ、いいですね。だったら毒が作用する速度を緩やかにしましょう。攻撃が治癒を上回らないように」
「どんな魔法ですか?」
「時間の流れを遅くすればいいんです」
「時間を?」
イーダはそんな魔法があるなんて耳にしたことすらない。
(魔界ってとんでもない世界……)
ソフィーも驚いている。