魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

「魔女の皆さんは、この薬草の疲労回復効果を最大限まで高めて加えてください。それで完成です」

 『わあ』っと悲鳴にも近い歓声が上がった。

 ソフィーがパンッ! と手を叩いて、場を静めた。

「じゃあ、今からみんなで量産していきましょう! といっても、この丸薬なら1粒飲めばいいと思うから、前の薬みたいな作業量ではないはず」

「今回は必要な量を全て僕が作りますよ?」

「そう言ってくださるのは非常にありがたいですが、作り方を習得しないといけないので、指導だけお願いできますか?」

「もちろんです。あっ、でも材料集めはやりますよ」

 魔王がそう言うと、窓から生暖かい空気が流れてきた。

 その風に乗って、始めは薬草に木ノ子が数種類ずつ、続いて蜘蛛に蟻が運ばれてきた。

「その辺の空いてる瓶をお借りしますね」

 そうして、種類ごとに瓶に入って、ポンと蓋がされてしまった。

 イーダは感嘆した。
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