魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
せめてと思い、配達チームには体力があって飛行が得意なことはもちろんだが、さらに飛行が好きな子たちを選抜した。
「私は薬を混ぜてるより、箒で飛んでるほうがいいから」
そう言って、どの子も笑顔で引き受けてくれた。
それでも疲労の色は日に日に濃くなっている。限界は近い。
しかし、それは他の魔女たちも同じだった。
ソフィーだってもちろんそうだ。
(メンバーを交替することもできない……)
この小さな集落には19人の魔女しかいない。
しかもそのうちの3人は年配者だ。
加齢とともに魔力は衰えていく。
それに何より、ばばたちに長時間の立ち仕事をさせたら、たちまち体を壊してしまうだろう。
だから、ばばたちには当初、全員分の食事の用意と子ども4人の面倒をお願いした。
けれど見兼ねたばばたちは、最近では領民から頼まれた分の仕事まで請け負ってくれている。