魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

「待って!」

 ソフィーは足を止めて振り返った。

「お礼にお茶でも……って、店とか分からないから、案内してもらわないといけなくて……お礼っていえるのかは微妙なんだけど……」

 恥ずかしそうに顔を赤らめたのがまた可笑しくて、ソフィーはクスクス笑いが止まらなかった。

「私のお気に入りのカフェでいい?」

「もちろん!」

 カフェでは時間は楽しすぎて、あっという間に過ぎてしまった。

 ソフィーは、自分が魔女だということを言いそびれたなと思った。

「また会える?」

「都合が合えば。友人に手紙を届けてもらうことにするわ」

「君の名前を聞いてもいい?」

「名前はダメ」

 これで使い魔のカラスが手紙を持ってこれば、ソフィーが魔女だということにすぐ気がつくだろうと思った。

(それで臆するならお終いだし、魔女でもいいというのなら……)

 こうして恋は始まったのだった──
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