魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
5. 王宮
5.1
これが円卓会議というものだろう。ドーナツ型をしているテーブルの外周に沿って、椅子が並んでいる。
会議メンバーは内側を向いて座っていた。
メンバーの中には国王もいた。
イーダはちょうどドーナツの穴にあたる部分に転移していた。もちろん魔王も一緒だ。
一瞬にして全員の視界に入ってしまう場所だった。
「な……」
そのとき国王はテーブルに両肘をついて手を組み、その上に顎を載せていたが、ふたりの登場に上半身をのけ反らせて驚いていた。
魔王は、イーダの目線が向けられた人物に気づくと、自身の目線もそれに揃えた。
周囲からは、椅子がガタガタッと鳴る音が聞こえた。
「だ、誰だ!?」
「近衛兵、捕らえろ!」
魔王が不愉快そうに笑うのが耳元で聞こえ、イーダの背筋はゾクッとした。
血が通っていないような冷ややかな笑い。
(こんな魔王様、私は知らない……)
イーダが名前を偽って婚姻の儀式を中断させたときにも怒ってはいたが、あのときとは温度がまるで違う。
会議メンバーは内側を向いて座っていた。
メンバーの中には国王もいた。
イーダはちょうどドーナツの穴にあたる部分に転移していた。もちろん魔王も一緒だ。
一瞬にして全員の視界に入ってしまう場所だった。
「な……」
そのとき国王はテーブルに両肘をついて手を組み、その上に顎を載せていたが、ふたりの登場に上半身をのけ反らせて驚いていた。
魔王は、イーダの目線が向けられた人物に気づくと、自身の目線もそれに揃えた。
周囲からは、椅子がガタガタッと鳴る音が聞こえた。
「だ、誰だ!?」
「近衛兵、捕らえろ!」
魔王が不愉快そうに笑うのが耳元で聞こえ、イーダの背筋はゾクッとした。
血が通っていないような冷ややかな笑い。
(こんな魔王様、私は知らない……)
イーダが名前を偽って婚姻の儀式を中断させたときにも怒ってはいたが、あのときとは温度がまるで違う。