魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
「僕は作り方を教えただけで、実際にはこの国にお住いの魔女の皆さんに作ってもらいました」
国王は真っ青な顔で、魔王ではなくイーダのほうを見た。
「魔王様は、私が魔女であることをご存知です。隠しておくのは無理でした。でも、魔王様は今回だけでなく今後のことまで考慮して、斑紋死病の特効薬の作り方を考えてくれて、ノールブルク領の魔女に作り方も指導してくれました。ですから、これからはご依頼を頂戴すれば、魔女がいつでも特効薬を作れます!」
イーダは、自分たち魔女がいかに有益であるかを強調して話した。
(だから、このあと当初の要求通りに第一王女殿下が嫁ぐように求められても、どうか魔女の集落を焼き払おうなんて思わないで!)
必死になって訴えたイーダは、自分の顔が上気してくるのを感じた。
「まあ、まあ、そんなに焦らないで」
魔王がイーダの肩に軽く手を置いた。