魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 領内では魔女という存在が受け入れられていて、共存できている。

 ぎっくり腰がどうだの、接近している嵐による農作物被害を最小限にしてほしいだのと、日々依頼が舞い込んでくるのだ。

 そして、ばばと子どもたちを除いた、残りの12人で王命に対応している。

 内訳は、薬の配達チームが3人に、材料の調達及び製造チームが9人だ。

 ソフィーはとっくに気づいていた。

(このままではこの集落も、王都と共倒れしてしまう)

 たったこれだけの人数で王都中に配布する薬を製造し、さらに配達までこなすなんて、土台無理な話だったのだ。

(大魔女である私から嘆願すればいいのだろうか? 『限界です、せめて薬の製造量を減らさせてください』と?)
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