魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 やはり王宮を半壊くらいしてやろうかと思ったとき、魔王の握っていた王女の手が震えた。

「あの……本当なんです」

 魔王は眉根を寄せた。

「ええ? 君までこの冗談に付き合うの?」

「冗談なんかじゃなくて……私は魔女で」

「魔女だろうと君は第一王女で、あのオリーヴィアとかいうのは第二王女だろ?」

「へええっ!? まさかそんな……私が王女だなんて!」

 魔王の言うことが信じられないとばかりに、半笑いを浮かべて首を横に振った。

「な……」

 国王は声を失って、目をみはった。

「ああ、もしかして庶子だと王女という称号はもらえないとか? そうだ、僕は返事に『国王の長女を我が妃に』って書こうとしてたんだ。それなのに侍従長が、『長女なら第一王女と呼んだほうがいい』って余計なことを言うからこんな誤解を招いたんだなー」

「いえ、そういうことではなくて……私の父親は……?」

「あの人でしょ?」
< 182 / 227 >

この作品をシェア

pagetop