魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
やはり王宮を半壊くらいしてやろうかと思ったとき、魔王の握っていた王女の手が震えた。
「あの……本当なんです」
魔王は眉根を寄せた。
「ええ? 君までこの冗談に付き合うの?」
「冗談なんかじゃなくて……私は魔女で」
「魔女だろうと君は第一王女で、あのオリーヴィアとかいうのは第二王女だろ?」
「へええっ!? まさかそんな……私が王女だなんて!」
魔王の言うことが信じられないとばかりに、半笑いを浮かべて首を横に振った。
「な……」
国王は声を失って、目をみはった。
「ああ、もしかして庶子だと王女という称号はもらえないとか? そうだ、僕は返事に『国王の長女を我が妃に』って書こうとしてたんだ。それなのに侍従長が、『長女なら第一王女と呼んだほうがいい』って余計なことを言うからこんな誤解を招いたんだなー」
「いえ、そういうことではなくて……私の父親は……?」
「あの人でしょ?」