魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 サンディが領主の子息それも王家の傍系ということが、交際当初から絶えず引っかかっていたのだ。

 だから、ラーシュ以外に打ち明けることはしなかった。

 けれど交際が順調に進んでいくと、自然とソフィーはサンディとの未来を望むようになっていった。

「魔女でも結婚した例はあるんだけど、今まで相手はみんな平民なの。私はサンディとは一緒になれないわよね?」

 ラーシュに答えを求めているわけではなかったと思う。

 ただ聞いてほしいのだろうと察し、首を動かしもせずに黙って聞いていた。

 ラーシュは話を聞きながら、人間の婚姻はずいぶんと不自由なのだなと思った。

「いずれサンディは結婚しなくちゃならないと思うの。私はそれまで一緒にいられればいいって、割り切らないといけないよね?」
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