魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
サンディとのデート中には、徹底的に隠していた葛藤。
それをラーシュにだけ吐き出していた。
(この恋の結末はどうなることやら……)
話を聞いてやることしかできないが、その代わりにいくらでも聞いてやろうと思った。
事態が残酷なまでに急転直下したのは、その矢先のことだった。
王都で斑紋死病という感染症が爆発的に流行った。
貴族も平民も関係なくバタバタと倒れた。それは王族も例外ではなかった。
「それでサンディが王家に養子として迎えられることになったんですって」
ソフィーはそこまで話したあたりから、ポロポロと泣き始めた。
「サンディは、『ノールブルク領を離れて、一緒に来てくれないか?』って最初は言ってくれたの。私のことを『養子にしてもいいっていう貴族を探すから、結婚してほしい』って」