魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
「サンディはこう言ったの。『いくらノールブルク家からの頼みでも身元調査くらいはするだろうから、胡散臭い魔女を養子にしてくれる貴族なんて見つからないよ』って。それから『下働きのメイドとしてなら平民でも王宮勤めはできるだろうけど、魔女のような胡散臭い者を愛妾にするために王宮に入れて、それが万一バレでもしたら……』ってぶつぶつボヤき出したの!」
ソフィーはわーっと泣き出した。
「2回も! 2回も『胡散臭い』って言ったのよ。魔女がどんな悪事を働いたっていうの? たまたま魔法を使う能力をもって生まれたから、それを活かして働いてる。貴族の依頼だって受けてるのよ。それだけなのに。それに愛妾って何? 私のこと何だと思ってるの?」
(何と酷い男なんでしょうか!)
ラーシュは憤慨したが、このときも黙ってソフィーの隣にいることしかできなかった。
そうしてソフィーがとうとう泣きつかれて眠ってしまうと、ラーシュは強制的に魔界に帰らされた。