魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
(到底許せるものではありません。こんな王女は断固拒否します!)
はらわたが煮えくり返る思いがした。
(今すぐ魔王様のところへ!)
ラーシュは魔王の気配がする部屋へと急いだ。
(魔王様、魔王様!)
これ以上やったらガラスが割れてしまいそうという限界まで窓を突いた。
けれど、うんともすんとも聞こえない。
カラスゆえに夜目がきく。真っ暗な部屋の中を覗いた。
(寝ていますね。それもぐっすり。イーダのほうは寝不足だったから理解できますが、魔王様までとは……)
不思議に思ったとき、魔法を使った痕跡があることに気がついた。
それと不自然なふたつのベッドにも。
(そういうことですか。その紳士的な対応、さすが魔王様です)
やはりあんな王女は魔王には相応しくない。
ふと……本当にふと、いけないと分かっていてもある考えがよぎった。