魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
(はっ!? 私はどれぐらい眠っていたんでしょうか?)
窓から見える太陽はすでにかなり高い位置にある。
魔王の気配に集中した。
昨夜寝ていたはずの部屋にはいない。
あの部屋には今イーダだけがいるようだ。
(完全に寝過ごしました!)
イーダのことも気になったが、魔王のところへ行くのが先だ。
魔王の近くには、サンディと第一王女もいるのを感じる。
(一刻も早く駆けつけて、魔王様に話さなくては……)
魔王なら、カラスになっているときの言葉も聞き取ってくれる。
一旦窓から建物の外へ出て、3人の気配がする部屋へと最短ルートで回った。
途中、イーダまでも転移したのを感じた。
丁度いいけれど、とてつもなく嫌な予感がする。
ソフィーの顔がチラついて気持ちが急いたが、どうにもならなかった。
ラーシュは間に合わなかったのだ。
(魔王様、何バラしてくれちゃっているんですかーー!?)
叫びながら、窓を突き破って謁見の間へ侵入した。