魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
1.3
当時抱いた負の感情まで蘇ってきそうなところを、ソフィーは寸前でどうにか退けた。
平静を装って、受け取った封書を開けた。
「何て書いてあるの?」
王宮からそれを持ち帰ってきた当人である魔女は、心配そうに尋ねた。
とんでもない内容だったら……と気が気でないのだろう。
ざっと目を通した。
型通りの挨拶文とそれから……
「私に『直接会って、至急で依頼したいことがある』んですって。要するに王宮に呼び出しってこと」
娘たちの顔が一斉に曇る。
「『薬の量を倍増せよ!』とかって命じられるんじゃないの?」
ソフィーは苦笑した。
「それはないと思うわ。これ以上の増産ができないのは、向こうにも伝わってるはずよ。無視するわけにもいかないから、とりあえず行って話だけでも聞いてくるわね。大丈夫、もしものときには『無理なものは無理』って、はっきり断ってくるから」