魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
6. 真実

6.1

 イーダは慌てふためいていた。

(魔王様はどうしたらそんな誤解ができたの? 私が国王陛下とソフィー母さんの子どもだなんて、そんなことあるはずが……)

 けれど、どうもさっきから国王の様子がおかしい。

 魔王の一言一句に驚いてはいるけれど、疑っている気配が感じられないのだ。

「まさかも何も、父親譲りの瞳に、母親譲りの髪だろうに」

 まるでそのひと言がキューだったかのように、ラーシュが突入してきた。

 ガラスの破片がキラキラ光りながら降ったせいで、悲鳴が上がる。

 イーダはその光景を、現実感なく眺めた。

 すぐそばで、ラーシュと魔王が言い合いを始めた。

 ラーシュのほうは『クワッ! ク、クワーッ!』と興奮して鳴いているだけだったが、それでも言い合いだということは十分に伝わってくる。

 しかし、イーダはそれには構わず、国王の瞳だけを見た。

(私の瞳、たまたまオリーヴィア王女殿下と同じ色だと思ってたけど、違うってこと? 私も王女殿下も、父親である国王陛下から受け継いだ色ってこと?)
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