魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 それに心までが躍りだす。

(私でもいいってこと?)

「ところで、オリーヴィア王女だっけ? 君、斑紋死病にかかってるね。もう2、3日もすれば、斑紋が胸に現れると思うよ」

「そ、そんな……!」

 オリーヴィアは愕然とした表情で、何の意味もないだろうに胸に手を当てた。

「おかしいなー。昨日特効薬を飲んで回復したって言ってたはずなのに」

 魔王は謁見の間をぐるりと見渡した。

「王都は収まったけど、王宮内はこれから流行するのかな。君と、君と、それから君も……」

 魔王が順々に指差していった。

(あの人……!)

 イーダのことを魔女の集落から檻車で王宮に連れてきた騎士も、その中に含まれていた。

 身体が震えたせいで、鎧がカチャカチャ音を立てる。
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