魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

6.2

 魔王のお陰で、イーダは一瞬にして集落の入口前に帰ってこられた。

「半日短縮できました!」

「ふたりで箒に乗るのもいいけど、それはまた時間があるときにね」

「また……」

「うん、また」

 魔王は何の疑いも抱かずに、にっこりする。

 ラーシュが横から魔王に『クワァクワァ』と穏やかに鳴いた。

 魔王は『そうだったのか』と頷きながら、眉根を寄せた。

 ラーシュはふたりをその場に残して、ひと足先に集落の中へと入っていく。

 イーダの視線に気づいた魔王は説明してくれた。

「僕らの様子を見てきてほしいって大魔女に頼まれて、王宮に行ってたんだって。大魔女に報告しに行ったよ」

 魔王は集落の奥をぼんやりと眺めた。

「大魔女は秘密をバラしちゃったこと、怒るかなー」

 眉尻を極限まで下げた。

「わ、私は知れてよかったと思ってます!」

「なら僕のこと庇ってくれる?」

「いいですよ」
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