魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

6.3

 イーダがソフィーを見つけたときには、ラーシュはすでにいなくなっていた。

「イーダ……お帰りなさい……」

「うん、ただいま……」

(うう、気まずいなー)

「あの……あのね……」

 イーダは言いかけて、ほかの魔女もいることに気がついた。

(この場で聞くのはダメだ)

 けれど、みんなしてイーダに注目して、イーダが話すのを待っていた。

「……お、王都の斑紋死病は特効薬が効いたんだけど、次は王宮で流行るみたいなの!」

 魔女たちの間に驚きが広がった。

「魔王様がそう言ってて。潜伏期間みたい。それで、また特効薬を作るように言われると思う」

 魔女たちは一瞬の沈黙のあと、ポツリポツリと溢し始めた。
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