魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
「イーダを拉致したことはまだ許せないんだけど、人の命が係わることだし?」
「まあ、そうねー。本当は、特効薬を作る前にイーダに謝罪を要求したいぐらいの気持ちなんだけど」
「そんなことしたって、どうせ火矢で脅されるだけだしね」
「大丈夫! それならもう大丈夫なの!」
イーダはことさら明るく言った。
「魔王様がビシッと言ってくれたの。魔女に『くれぐれも失礼のないように』って」
みんなは目を見開いた。
「いい男は言うことが違うわー」
「どうせ特効薬を作るにしても、脅迫されてと頭を下げられてでは全然違うものね」
「今のうちから手分けして材料を集めに行っておく?」
『そうしよう』と口々に賛同する中で、ソフィーが遠慮がちに言った。
「イーダとふたりで話がしたいから、材料採集は私たち以外でお願いできる?」
それを聞いてみんなは大きく頷いた。
「もちろん。母娘だけでゆっくり話したいこともあるよね」