魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
(母娘……)
ソフィーはずっとイーダの母親だった。
しかし、その言葉が今までとは違った響きに聞こえた。
(姉さんやほかの母さんたちは知ってたんだ。私がソフィー母さんの産んだ子どもだって)
みんながローブを着て出かけていくのを待って、イーダはソフィーに目をやった。
ソフィーは手紙を握りしめていた。
「それは?」
「これは……」
ソフィーが伏し目になった。
「魔王城の侍従長をされてる方からの手紙。ラーシュがついさっき届けてくれたんだけど、なぜかその方が王宮であったことを知っていてね、」
「あっ、ラーシュってもしかして!」
イーダは思わず大声で叫んでしまった。
そのせいで驚いたソフィーは、ビクッと肩を震わせた。