魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
(何をそんなに驚いてるのかしらね……ほぼ1日おきに薬の配達に来てるはずだけど、まさか国王陛下は魔女が空を飛ぶところを見たことがないとでもいうの?)
そこまで考えたところでソフィーは気がついた。
国王が見たことがなかったのは、自分が空を飛ぶところだったということに。
「それで、私に直接頼みたいこととは何でしょうか?」
「あっ、ああ! その、親書の配達を……頼みたいのだ」
「どうしてそのような業務を、わざわざ魔女に依頼するのでしょうか?」
(それも大魔女を呼び出して……)
臣下には頼めないような危険な場所にでも届けさせるつもりなのだろうか。
国王相手にも、ソフィーはつい不機嫌な声になってしまった。
「それが、魔王宛て……なのだ」
「魔王! それは……」
確かに魔女に頼むしか、というか正確には魔女の使い魔に頼むしかない。