魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
「やったじゃないの」
途端に魔女たちの表情が明るくなった。
「斑紋死病の薬を作り始めてから、よくがんばってるのが認められたのね」
「イーダには、何が使い魔になってくれるのかな? ネズミか、猫か、カラスか……」
ソフィーの使い魔はカラスだけれど、この集落では黒猫と契約している魔女が多い。
「契約してくれるなら何だってうれしいんだけど、贅沢いっていいなら、ソフィー母さんのカラスみたいに賢い子がいいなー」
「えーっ、ソフィー母さんだからあんな賢い使い魔にも契約してもらえたのよ?」
「そうそう。普通はあそこまで意思疎通できないし、ごく簡単なお使いが頼めるだけよ」
「そんなの、召喚してみないと分かんないじゃなーい」
重苦しかった空気はすっかり霧散していた。
イーダはむくれてみせながらも、よかったと胸をなでおろした。